秋田俊明はついに、噂の中で非常に扱いにくいと言われている秋次おじいさんに会った。
ビリヤード台の前で上杉望とビリヤードをしていた菊地秋次は黒いシャツを着ていた。シャツの上の三つのボタンは全て外されており、襟元が大きく開いていて、引き締まった筋肉がかすかに見えた。
これは秋田俊明が想像していた病弱な人とは大きく異なっていた。
秋田俊明は体調があまり良くないという秋次おじいさんが痩せて虚弱な人だと思っていたが、このように見ると、どこに健康上の問題があるのか全く分からなかった。
秋田俊明は邪魔をする勇気がなく、上杉晴夏と共にしばらく側で待っていた。
菊地秋次と上杉望がこの一局を終えるまで待って、秋田俊明はようやく笑顔で前に進み出た。
「秋次おじいさん」と秋田俊明は笑顔で呼びかけた。
菊地秋次は振り返って彼を一瞥し、口角を上げて微笑んだ。
菊地秋次の目と合った瞬間、秋田俊明は思わず緊張した。
このような鋭く人の心を見透かすような目つきを、秋田俊明が最後に見たのは天興グループの会長に会った時だった。
そしてその時も、彼は相手と簡単に目が合っただけで、彼の立場では天興グループの会長と言葉を交わすことはできなかった。
秋田俊明はチャンスを掴み、急いで用意していた千年老山人参を取り出した。
真っ赤な錦の箱に入れられており、開けると中には根が多く形を整えた老山人参が置かれていた。
「これは私が…」
「何ができる?」菊地秋次は秋田俊明の言葉を遮った。
目は秋田俊明が大金を払って手に入れた野山人参を見ようともしなかった。
秋田俊明は一瞬躊躇し、そして横のビリヤード台を見て、急いで言った。「私は下手ですから、秋次おじいさんには到底及びません。」
「上杉望と一局やれ」菊地秋次は直接ビリヤードのキューを秋田俊明の前に差し出した。
秋田俊明は少し反応が遅れ、菊地秋次の意図が分からなかった。
しばらく迷った後でキューを受け取った。
そして秋田俊明は菊地秋次が横のソファに座るのを見た。
秋田俊明は既にボールを並べ始めている上杉望を見て、仕方なく強いられるままに上杉望とこの一局を始めた。
上杉晴夏は菊地秋次の側に行き、小声で尋ねた。「秋次おじいさん、お怒りですか?」
「何が」菊地秋次は口を開いた。声には磁性があった。