秋田俊明はついに、噂の中で非常に扱いにくいと言われている秋次おじいさんに会った。
ビリヤード台の前で上杉望とビリヤードをしていた菊地秋次は黒いシャツを着ていた。シャツの上の三つのボタンは全て外されており、襟元が大きく開いていて、引き締まった筋肉がかすかに見えた。
これは秋田俊明が想像していた病弱な人とは大きく異なっていた。
秋田俊明は体調があまり良くないという秋次おじいさんが痩せて虚弱な人だと思っていたが、このように見ると、どこに健康上の問題があるのか全く分からなかった。
秋田俊明は邪魔をする勇気がなく、上杉晴夏と共にしばらく側で待っていた。
菊地秋次と上杉望がこの一局を終えるまで待って、秋田俊明はようやく笑顔で前に進み出た。
「秋次おじいさん」と秋田俊明は笑顔で呼びかけた。