第35章 シンイーリンを実家へ送る

実は菊地おじいさんがそのような考えを持つのも無理はない。菊地秋次は健康そうに見えるが、実際には一歩間違えれば命を落としかねない人物だった。

菊地家には彼一人しか跡取りがおらず、もし彼が亡くなれば、大きな菊地家は断絶してしまうことになる。

残念ながら、秋次おじいさんは何でも手を出すが、女性だけは避けていた。

その面では白紙のように潔白だった。

実際、年齢だけを考えれば、秋次おじいさんはまだ結婚を急かされる年齢ではなかった。

女性と付き合ったことがないのも普通で、上杉望自身も経験がなかった。

しかし秋次おじいさんは特別な事情があった。

東京にいた時、菊地家は秋次おじいさんのために様々な方法で女性を紹介し、彼の注目を集めようとした。

しかし秋次おじいさんは全く動じなかった。