第38章 2番目の叔母 山田燕

佐藤おばあさんと佐藤和音が佐藤家に戻ると、リビングには佐藤家の叔母の山田燕が座っていた。

佐藤賢治と二人の弟、佐藤博と佐藤彰の関係は常に良好で、三兄弟は互いに支え合い、共に進退を共にし、佐藤家の事業を共に発展させてきた。

ただし、佐藤家の叔母である山田燕は佐藤賢治の一家に不満を持っており、佐藤賢治がより多くの家産を分け取り、夫の佐藤博が損をしたと常に感じていた。

さらに、おじいさまとおばあさまが佐藤和音を可愛がっていることで、彼女の心にはある種の不均衡が生じていた。

彼女はまた、おじいさまとおばあさまが亡くなった後、二人の財産を全て佐藤和音というこの小娘に残すのではないかと心配していた。

皆佐藤家の子供なのに、和音というこの生意気な娘だけが得をするわけにはいかない。

今回、おばあさまが佐藤和音を佐藤家に引き取って長期滞在させると聞いて、彼女は我慢できず、息子を連れて直接やって来た。

息子の佐藤隼人は今、おじいさまに書斎で学業のことを尋ねられているところだった。

山田燕を見ても、おばあさまは全く驚かなかった。山田燕はよく佐藤隼人を連れて屋敷に来ては彼らに会いに来ていたからだ。

山田燕はおばあさまに挨拶をした後、視線を佐藤和音に向けた。

「和音ちゃん、ますます綺麗になったわね」山田燕は佐藤和音の手を取り、顔には慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。

山田燕は佐藤博と結婚する前、少し名の知れた女優で、自分の表情のコントロールには長けていた。

「うん」佐藤和音は山田燕の手から自分の手を引き抜こうとしたが、山田燕がしっかりと握っていたため、引き抜けなかった。かといって強く引っ張るわけにもいかず、自分の手を傷つけたくなかった。

「和音ちゃん、どうしたの？前は叔母さんのことが好きだったじゃない？学校で何か嫌なことでもあったの？叔母さんに話してごらん、アドバイスするわ！」山田燕は佐藤和音の反応が少し変だと感じた。

以前の佐藤和音と山田燕の関係は確かに良好だった。山田燕は話が上手で演技も得意で、世間知らずの若い佐藤和音を手玉に取っていた。

しかし、山田燕が意図的に彼女を堕落させようとしていたことは知らなかった。佐藤和音が無法で無謀になればなるほど、山田燕にとって都合が良かったのだ。