第42章 秋次おじいさんの訪問

山田燕は心の中で歯ぎしりをしながら、お婆様は簡単に言うけど、佐藤賢治の息子と佐藤彰の息子には家業を継げる者がいるから、老婦人は心配することはないのだと思った。

では彼女山田燕はどうなるのか?甥たちに養ってもらうしかないというのか?

山田燕は心の中の不満を抑えながら、笑顔で応対し続けた。「この件はしばらく待ちましょう。隼人が大学入試を終えてからにしましょう」

佐藤隼人の顔から笑みが消え、避けられない失望の表情が浮かんだ。

しかしすぐに立ち直った。彼は不死鳥のような存在で、そうでなければ母親のあれほど強硬な態度にもかかわらず、これほど長年自分の考えを貫くことはできなかっただろう。

そしてちょうどその時、佐藤家に誰も予想していなかった客人が訪れた——菊地秋次である。

これは佐藤おじいさんを驚かせ、困惑させた。

菊地秋次が隣の上杉家に住むことになったことは佐藤おじいさんは早くから知っていたが、まさか自分を訪ねてくるとは思っていなかった。

結局のところ、両家には付き合いがなく、地位から考えても、菊地秋次には彼を訪問する理由は全くなかった。

この数日間、菊地秋次を訪問しようとする人は多かったが、みな上杉晴夏に阻まれていた。

佐藤おじいさんは相手を訪問しようとは考えていなかった。菊地家や天興グループと無理に関係を持とうとは思っていなかったのだ。

そのため、隣に住むことになったとはいえ、両家の付き合いはなかった。

山田燕も驚いた。彼女は秋次おじいさんのことを聞いたことがあった。

秋次おじいさんが大阪市に来たことは、業界の人々はほぼ皆知っており、山田燕が知らないはずがなかった。

山田燕も秋次おじいさんを訪問しようと考えたことがあったが、夫に止められた。

夫は彼らの家と菊地家には直接の付き合いがないので、無理にこの関係を作る必要はなく、かえって逆効果になるかもしれないと考えたのだ。

山田燕はそれで秋次おじいさんを訪問する考えを断念した。

しかし、佐藤家本邸で秋次おじいさんに会えるとは思ってもみなかった。

山田燕は心の中で、年寄りは若者より賢いものだと思った。おじいさんはやはり面目があるのだ。秋次おじいさんが大阪市に来てからこれほど長い間、初めて人を訪問したのが、まさに彼らのおじいさんだったとは!