「これは私が主催したホームパーティーよ。秋次おじいさんが主催したわけじゃないわ」
上杉望は招待状に秋次おじいさんが出席するとは一言も書いていなかった。
それは彼らが勝手に想像したことだった。
「いや、でも秋次おじいさんは……」
招待状には秋次おじいさんが来るとは書いてなかったけど、この時間にこの場所で、秋次おじいさんのためじゃないなら、何のために開くというの?
みんながそう考えるのは当然のことじゃないの?
上杉望は説明しなかった。このパーティーを開く理由は確かに秋次おじいさんと関係があった。
東京から指示があり、秋次おじいさんに若い女性を紹介するようにと言われていた。
何もしないわけにはいかない。菊地おじいさんの命令を聞かないなんて、死にたくなければできないことだった。
しかし、上には政策があれば、下には対策がある。
上杉望は菊地秋次の同意を得た上で、上杉家でパーティーを開き、適齢期の男女を招待して楽しむことにした。
後で写真や動画を撮って菊地おじいさんに送ればいい。
どうせ彼は段取りをつけるだけで、成功するかどうかは秋次おじいさんの問題だ。彼には保証できないし、菊地おじいさんも彼の責任を追及することはできない。
秋次おじいさんがこういう場に現れるかどうかは、完全に彼の気分次第だった。
上杉望が彼を連れてくることなどできるはずもない。
秋田緑は少し落胆した。今日は伝説の秋次おじいさんに会えると思っていたのに。
影も形も見られなかったなんて。
「そうそう上杉望、紹介するわ。これ私の親友の原詩織よ。あなたと同じで、栄光高校の特進クラスなの」
上杉望も栄光高校に通っていた時は特進クラスで、成績は常に学年トップクラスだった。
「上杉さん、はじめまして」原詩織は謙虚に、しかし堂々と上杉望に挨拶した。態度は控えめで、上品な礼儀正しさを備えていた。
彼女のその振る舞いからは、使用人の娘だとは全く感じられず、この裕福な家庭の子女たちの中に混ざっていても、少しも違和感がなかった。
森村晃の反応とは違い、上杉望は原詩織にあまり関心を示さず、直接秋田緑に言った。「友達と楽しんでね。私はまだ用事があるので」
上杉望は写真を撮って動画を録画しなければならなかった。それらは後で菊地おじいさんに送る重要な任務だった!