第58章 シューティングゲーム

「今日はゲームでもしようか。普段どんなゲームをしているの?」千葉佳津が突然提案した。

佐藤和音は千葉佳津を一瞥して、首を振った。

彼女はゲームをしない。

「着せ替えゲームや戦略ゲームもやったことない?」

千葉佳津はIT業界で働いているため、市場動向についてよく知っていた。若い女性がどんなゲームを好むかも把握していた。

首を振る。

佐藤和音は何に対しても興味がないような様子だった。

千葉佳津は自分のパソコンを開き、佐藤和音に好きなゲームを選ばせた。

千葉佳津のパソコンにはあらゆるゲームがあった。中には遊ぶためではなく、市場動向を把握するためにダウンロードしたものもあった。

「なぜゲームをしなければならないの?」佐藤和音は千葉佳津に尋ねた。

「おばあさんが、もっと娯楽を持ってほしいと思っているんだ。ずっと勉強ばかりしているのを心配しているんだよ」千葉佳津は正直に答えた。

佐藤和音は一瞬考え込んでから、千葉佳津のパソコンの画面に目を向けた。

「これ」佐藤和音はデスクトップ上の『虫族の侵略』を指さした。

これは最近人気が出始めたFPSシューティングゲームだった。

佐藤和音はこのゲームを知っていた。これは佐藤正志が海外の会社で作ったものだった。

このゲームは発売されるとすぐに人気を博した。

これが最近、佐藤正志が疲れている理由だった。

ゲームの設定は宇宙戦争が背景で、ゲーム開始時にプレイヤーはオンラインの他のプレイヤーと共に宇宙船から出発し、虫族に占領された惑星に降り立つ。

凶悪な虫族を倒すことで、プレイヤーは対応するポイントと装備の報酬を獲得できる。

一試合が終わると、最終的に最高得点を獲得したプレイヤーが勝利する。

千葉佳津は佐藤和音がこのゲームを選ぶとは思わなかった。このゲームは確かに面白く、最近の人気ゲームだが、銃を使うこの種の暴力的なゲームは、彼女のような臆病な人には向いていないと思った。

「これはかなり暴力的で血なまぐさいよ。グラフィックがリアルだから、気分が悪くなるかもしれない」

千葉佳津は佐藤和音に説明し、このゲームを諦めるよう説得しようとした。ゲームに入って怖がらせたくなかったからだ。

「これにする」佐藤和音は決めた。

千葉佳津は佐藤和音の意志の強さに負け、自分のアカウントでログインさせた。