上杉邸。
上杉望は退屈そうにスマホをいじっていた。
今日は秋次おじいさんが外出しないので、彼も一緒に家に閉じこもっていた。
退屈のあまり、上杉望は栄光高校の学校掲示板を開いた。
前回の佐藤和音に関する学校の投稿以来、彼は最近よく学校の掲示板を覗いていた。
そして突然、上杉望は佐藤和音に関する新しい人気投稿を見つけた。
また告白の投稿だった!
「なんだよ!どこの若造だ、和音ちゃんまだ若いのに、手を出そうとしてるのか?」上杉望はスマホを見ながら驚きの声を上げた。
隣でパソコンに向かっていた菊地秋次のキーボードを打つ手が急に止まった。
「何の話だ?」
「隣の和音さんの話ですよ。誰かが学校の門の前に花とバルーンを山ほど用意して、横断幕まで掲げて告白したんです!」
上杉望は返事をしながら投稿をスクロールしていた。
スクロールしていくうちに、最後の告白した若者の写真にたどり着いた。
怪しげな目つきで、痩せこけて栄養失調のような姿で、チャラチャラした格好をして、まるで不良少年のような様子だった。
「うわっ!」
上杉望は突然ソファから飛び上がった。
「なんだこれ?こんな奴が和音ちゃんを追いかけようとしてるのか?鏡見て自分の姿確認したことないのか?」上杉望は嫌悪感を露わにし、心の中で怒りが込み上げてきた。
「見せろ。」
菊地秋次の一言で、上杉望は急いで自分のスマホを差し出した。
菊地秋次は投稿に目を通した。
「ふん。」菊地秋次は冷笑を漏らした。
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実験室にいた藤田安広は佐藤和音からメッセージを受け取った。
【警備員を2人貸してください。】
佐藤和音と知恵医学研究所が締結した契約には、知恵医学研究所がメンバーの身の安全を全面的に保障するという条項があった。
研究所の警備力は侮れないものだった。なぜなら、研究所内に蓄えられている価値は、いくつかの銀行の金庫よりも高額かもしれないからだ。
そして研究所のメンバー自身も巨額の財産だった。
研究所は研究員の身の安全を守る義務があった!
佐藤和音の正式な就職時期は来月だが、契約の発効時期は契約を締結した時点からだった。
そして彼らの契約は今朝、佐藤和音が学校に着いたばかりの時に既に締結されていた。