第81章 凌を守る(6)

その場にいた全員が呆然としていた。

何が起きたのかを理解する間もなく、この威圧的な女性は既に何発も殴りかかっていた。

拳は速く、強く、正確で、その凶暴な勢いに周りの人々は驚きと恐れを感じていた。

この時、周囲に潜んでいた不良たちの仲間が我慢できなくなった。

次々と奥野実里を止めようと飛び出してきた。

彼らが動き出すと、奥野実里が連れてきた警備員たちが一斉に前に出て、威圧的な雰囲気を醸し出した。

「みんな下がって」奥野実里は後ろの警備員たちに鋭い眼差しで言った。

警備員たちは急いで立ち止まり、前には進まなかった。

恵子姉が下がれと言えば、下がるしかない。

どうやら恵子姉は自分で対処するつもりのようだ。

それもいい、恵子姉が怒っているのだから、誰かに思う存分殴らせないと、後で彼らに手合わせを求めることになり、苦しむのは彼らだ。