第97章 旧宅での出会い(2)

佐藤直樹がふと顔を上げると、佐藤隼人が着ているセーターが目に入った。

見覚えがあり、すぐに兄の方を振り返って見た。

二人が着ているセーターは全く同じデザインで、色だけが違っていた。

二人が同じものを持っているのは珍しくないが、兄のセーターは詩織の手編みだったので、理屈的には佐藤隼人がこのようなデザインのセーターを持っているはずがない。

佐藤隼人も佐藤直樹とその手を見たが、積極的に挨拶はしなかった。

以前、森村晃から佐藤直樹が和音ちゃんが階段から押したせいで手を怪我したと言っていると聞いていたからだ。

もし森村晃が嘘をついていないのなら、佐藤直樹が嘘をついていることになる。

そのため、佐藤隼人は今、佐藤直樹に対して少し良くない印象を持っていた。

佐藤隼人は佐藤正志が着ているセーターにも気づき、自分と同じデザインだった。