電話を切ると、佐藤正志は車の中で暫く黙って座っていた。
続いて父親に電話をかけ、この良い知らせを伝えた。
まだ確定はしていないものの、少なくとも希望が見えてきた。
今の佐藤家にとって、希望があることは希望がないよりもずっと良かった。
この知らせを聞いて、電話の向こう側の佐藤賢治も大喜びだった。
「小田百蔵と連絡が取れない場合は、私が実家に行って父に状況を説明し、父の人脈を使って相手と連絡を取ってもらおう」
佐藤おじいさんの人脈は若い世代よりもずっと広く、何か方法があるかもしれない。
とにかくこの人物を招かなければならない!
「分かった。今はまだ少し用事があるから、帰ってから改めて話そう」
佐藤正志にはまだ佐藤賢治と岡本治美に話していないことがあった。
確実な証拠を見つけてから、彼らに話すつもりだった。