第106章 庭園バーベキュー(5)

電話の向こうの老人は続けて言った。「相手の態度はとても強硬で、もう少し待ってくれとしか言わず、完全に承諾する気配はありません。」

その言葉を話す時、老人の声には後悔の念が満ちていた。

「分かりました。ご苦労様でした。」

「佐藤じじい、遠慮しないでください。私も大した助けにはなれませんでしたが、相手との連絡を継続するのが賢明だと思います。」

「分かりました。」

佐藤おじいさんは電話を切った。

佐藤賢治たちは憂いに満ちた表情を浮かべた。彼らは既に佐藤おじいさんの口調から事態が順調に進んでいないことを察していた。

佐藤直樹は頭を垂れた。明らかに彼は失望していた。

誰も彼ほどこの件の進展を気にしている者はいなかった。

誰も彼ほどこの手術の成功を願っている者はいなかった。

しかし今、彼は再び失望するような知らせを受けた。

傍らの佐藤賢治は彼を慰めた。「大丈夫だよ。悪い知らせというわけでもない。以前と同じで、もう少し待つだけだ。」

相手も彼らを拒否したわけではないので、悪い知らせとは言えなかった。

ただ、彼らはもっと明確で確実な答えを期待していた。

「どうでもいい。」

佐藤直樹は引き続き携帯電話をいじり、気にしていないふりをした。

どうせ自分はこうなってしまったのだから、これ以上悪くなることがあるだろうか?

彼のその様子を見て、佐藤賢治と岡本治美夫妻の心は痛んだ。

山田燕は状況を見て、すぐにコックに焼き上がった料理を運ぶように指示し、雰囲気を和らげようとした。

「さあさあ、まずは食事にしましょう。このオーストラリア産ロブスターは素晴らしいですよ。身が柔らかそうです。」

山田燕が用意した食材は、短時間で手に入る最高のものばかりだった。

オーストラリア産ロブスター、和牛、キャビア、タラバガニなど。

佐藤おばあさんは山田燕のこのようなやり方が好きではなく、手に入る高価な食材を全て並べようとするのを嫌がった。

おばあさんは、食事は贅沢よりも質が大事で、もてなしは金より礼儀が大切だと考えていた。

しかし、おばあさんは山田燕に何も言わなかった。ただの習慣の違いで、姑として嫁の習慣を尊重していた。

雰囲気を和らげるため、みんなも食事を始めた。

山田燕は使用人に菊地秋次の方にも料理を届けるように指示した。