「玄関に見に行きましょう」しばらく考えた後、佐藤直樹が提案した。
「はい」原詩織は答えた。
二人は一緒に別荘の玄関に向かった。
「プレゼントをどこに置いたの?」佐藤直樹は原詩織に尋ねた。
「ここです」原詩織は玄関の横を指さしながら言った。「あの日、皆さんと一緒に食事をすることを知らなかったので、玄関に置いておけば誰かが見つけて中に持って行ってくれると思って...」
もし原詩織がここに置いたのなら、誰かが見つけて中に持って行ったはずだ。
佐藤直樹は周りを探してみると、玄関からそう遠くない茂みの中に紙袋を見つけた。
紙袋は露に濡れて、しわくちゃになっていた。
明らかにその袋は数日間風雨にさらされていたようだった。
佐藤直樹は袋を開け、中から黒いセーターと刺繍の入った黒いマフラーを取り出した。