第140章 1凌が病気(4)

彼は思い出した。つい最近まで、家族みんなが幸せだったことを。

あの一度の出来事で、すべてが完全に変わってしまった。

彼の手を、彼の人生を、そして彼らの関係までも台無しにした。

すべての原因は原詩織、かつて彼が深く信頼していた原詩織だった。

今、現実は彼に教えてくれた。この女は偽善者で、信頼に値しない人間だと。

佐藤直樹はここまで考えて、どうすればいいのか分からなくなった。

病室の中で、数人が佐藤和音と長い間話をしていた。

岡本治美はまだ佐藤和音の看病を続けたがっていたが、佐藤おばあさんは反対した:

「おりこは私と明人で見ているから大丈夫よ。心配しないで。あっちは入院手続きをしなきゃいけないんでしょう?まずはそちらを済ませてきなさい。」

佐藤直樹の手術のことは佐藤おばあさんも既に知っていたので、岡本治美に先に佐藤直樹の件を片付けてから佐藤和音のことを心配してもらおうと考えていた。