「お肉が食べたい」佐藤和音は真剣に答えた。
もう背は伸びないし、このままお粥と野菜だけを食べていたら、なおさら背が伸びる望みはなくなってしまう。
その言葉を聞いて上杉望は笑った。「いいよいいよ、牛肉も羊肉も魚も何でも用意するから!御馳走を振る舞ってあげるわ!」
上杉望が言い終わるや否や、振り向いた先で菊地秋次の冷たい視線と目が合った。
あっ……こっちには贅沢な食事ができない人がいるのを忘れていた。
佐藤和音も菊地秋次の方を向いて言った。「あなたはキノコを食べて」
菊地秋次は怒る様子もなく「君が作ってくれるなら食べるよ」
「うん。病気が治ったら、作ってあげる」和音は言った。
今日もまた迷惑をかけてしまった。
きちんとお礼を言わないと。
「だったら早く元気になってくれ」菊地秋次は佐藤和音のやせ細った姿を見て、どうしても気に入らなかった。