第180話 学校にイケメンが来た

翌日、2時限目が終わった時、教室棟が突然賑やかになり、多くの生徒が廊下に集まって見物していた。

好奇心旺盛な大井心も一緒に廊下に行って、しばらく様子を見ていた。

戻ってきて佐藤和音に告げた。「和音、学校にすごいイケメンが来たの!鼻血が出るくらいのイケメンよ!」

「ふーん」

佐藤和音はイケメンに興味がなかった。

「違うの和音、今回のは顔がいいだけじゃなくて、大阪大学の優秀な学生なんだって!しかも、まだ大学生なのに、同級生と一緒にIT企業を立ち上げたんですって!」

「ふーん」

それでもまだ興味がないようだった。

「彼の名前は...千葉佳津っていうの!あらゆる面で超優秀だって!」

佐藤和音は顔を上げた。

思い出した。千葉株式会社は最近急成長していた。

それに伴い、千葉佳津の名前も大阪市の人々に知られるようになっていた。

実際、佐藤和音は他の人よりも多くのことを知っていた。千葉株式会社の財務諸表なども見ていたからだ。

大井心は佐藤和音に話し続けた。「彼は以前、大阪市の大学入試で首席だったんだって。東京の超一流大学に行けたのに、なぜか大阪大学を選んだらしいわ。もちろん、大阪大学もすごく素晴らしい大学だけど、私には一生手の届かない夢みたいな存在よ」

「何しに来たの?」佐藤和音は尋ねた。

千葉佳津は栄光高校の卒業生ではなく、大阪市立第一高校で全額奖学金と授業料免除の特典を得て卒業した。

母校に戻るなら大阪市立第一高校であるべきで、栄光高校ではないはずだ。

「学校の指導部が高校3年生向けの講演会のために呼んだみたい。キャリアプランとか将来の展望についてかな?」

栄光高校は卒業生が成功して名声を得ることを望んでいた。

そのため、高校3年生向けに講演会を開催し、時には心の励まし、時には就職指導、時には受験指導などを行っていた。

今回は、まだ大学生でありながら起業に成功した千葉佳津を招いて、生徒たちの模範としようとしていた。

彼に学習経験、受験経験、起業経験などを語ってもらう予定だった。

本来なら普通のことだったが、千葉佳津のルックスがあまりにも良かったため、学校が騒然となっていた。