第182章 君は簡1凌さんを知っているの?

「そういえば、千葉さんは最近インターネット業界の大物と知り合いになったと聞きましたが?海外のネット業界の人々とも繋がりがあるとか?」

「いいえ、先生の勘違いだと思います。海外のネット業界と繋がりが深いのは、本校の卒業生の佐藤正志さんのはずです」

千葉佳津は淡々と答えた。

「ああ、そうでしたね」生活指導主任は微笑んだ。

佐藤正志も栄光高校の卒業生だが、かなり前の話だ。佐藤正志が栄光で高校生だった頃は、まだ彼が生活指導主任ではなかった。

それに佐藤一輝という人物もいて、天才だと言われている。現在は海外の有名大学で大学院生として、国際的に著名な生物学者の下で研究をしているそうだ。

ここまで考えると、生活指導主任は思わず佐藤和音のことを思い出した。

同じ佐藤家の子供なのに、兄妹でこんなにも差があるものなのだろうか?

そして彼の在任中には、佐藤正志や佐藤一輝のような天才には恵まれず、佐藤家で最も出来の悪い佐藤和音を担当することになった。

何という因果なのだろう。

生活指導主任は千葉佳津と共に学校の大講堂へ向かった。

道中、笑顔を絶やさず、誰が見ても上機嫌なことは明らかだった。

千葉佳津が大講堂に到着した時には、すでに高校三年生で満席になっていた。

原詩織もその中にいた。彼女は本来、教室に残って化学オリンピックの問題を解くつもりだった。

しかし時間になると、江口沙央梨に引っ張られてここに来ることになった。

前回、江口沙央梨と原詩織は喧嘩をしたが、すぐに江口沙央梨から謝罪があった。

原詩織は気にせず、優しく許してあげた。

原詩織は江口沙央梨と敵対する必要はないと考えていた。クラスで敵を作りたくなかったし、特に佐藤和音のように、みんなから嫌われるようになりたくなかった。

原詩織は来てはみたものの、この時間も勉強に使おうと思い、化学オリンピックの問題集を持ってきていた。

今日の講演者は大学生で、しかもとても優秀だと聞いていた。クラスメイトの評価も非常に高く、原詩織は最初、噂が誇張されているのではないかと思っていた。

しかし千葉佳津本人を見たとき、これまでの評価は決して大げさではなかったことを理解した。

そして千葉佳津の話す内容は、年配の教授たちのような空論や机上の空論ではなく、とても現実的だった。