翌日、原詩織は落ち込んだ気持ちで学校に来ると、教室に入るなり化学コンテストの結果が発表されたと聞いた。
今回の化学コンテストは参加者が多くなかったため、試験終了後その日の夜のうちに、主催機関は試験の採点を終えることができた。
この結果が発表されると、全員が動揺した。
原詩織は急いで携帯でネットに接続し、コンテストの公式サイトを開くと、確かに成績表が公開されていた。
佐藤和音という三文字が目に飛び込んできた。
リストの最上位に位置していた。
第一位。
佐藤和音がなんと第一位だった!
この事実は信じがたかった。
佐藤和音と接点のあった原詩織が受け入れられないのはもちろん、他の人も同様に受け入れられなかった。
驚きの中、原詩織は急いでリストの中から自分の名前を探した。
名前を見つけると、すぐに前の順位を確認した。
第十一位。
原詩織の順位は市内で第十一位だった。
あと一位差で賞金がもらえるところだった。
原詩織は顔を蒼白にして画面を見つめていた。
彼女はこのことに大きな期待を寄せすぎていた。
期待が大きければ大きいほど、失望も大きくなる。
大きな心理的な落差と、早くからの苦しみが潮のように心に押し寄せ、彼女を飲み込んでいった。
そのとき江口沙央梨が近づいてきて、原詩織の悲しそうな表情を見て諭すように言った。「今は落ち込む必要はないと思うわ。見てよ、一位は佐藤和音でしょう?これって変じゃない?佐藤和音がどんな生徒か知らない人はいないでしょう。普通の化学のテストでさえ良い点が取れないのに、コンテストで一位なんて、あまりにも不自然よ。システムの間違いである可能性は高いと思うわ。もし彼女の成績が間違いだったら、あなたは第十位になるじゃない?」
江口沙央梨の言葉は原詩織の心に響いた。
その通りだ。もし佐藤和音の成績が間違いなら、彼女はちょうど第十位になる。
「でも……これは主催者が発表したリストだし、私……」原詩織は主催者に成績を再確認してもらう方法が分からなかった。
「焦らないで。あなたが動く必要はないわ。すでに誰かが申請したって聞いたわ。彼女の成績を疑っているのはあなただけじゃないし、他にもたくさんの人が疑問に思ってるのよ」と江口沙央梨は言った。
江口沙央梨の言葉を聞いて、原詩織の心は少し落ち着いた。