奥野実里と藤田安広に贈り物を渡した後、佐藤和音は手術着に着替えて消毒し、手術室に入る準備をした。
この手術は佐藤和音にとって難しいものではなく、肺腫瘍切除手術だった。
手術は1時間で終了した。
佐藤和音の手腕は期待を裏切らなかった。
やはりあの手の神経修復手術を彼女に任せれば、心配する必要は全くなかった。
手術が終わった後、佐藤和音は千葉佳津の母の病室に行き、診察を終えたときには既に12時になっていた。
藤田安広が車で佐藤和音を化学コンテストの会場まで送った。
試験会場は大阪大学で、主催者は大阪大学から講義棟を借りて会場として使用していた。
試験開始10分前に、教室の入り口に到着した。
入り口の監督の先生は佐藤和音の受験票を見て、本人を確認し、何度も確認を繰り返した。
単純に佐藤和音が高校生に見えなかったからだ。