藤田安広は奥野実里を嘲笑おうとしたその時、佐藤和音が箱を差し出した。
藤田が箱を開けると、中にはフィギュアが入っていた。
いや、これはフィギュアではない。
一見フィギュアに見えるが、よく見ると飴細工でできていることがわかった。
しかし、あまりにも精巧に作られていたため、一目見ただけでは本物のフィギュアだと思ってしまうほどで、むしろ一部のフィギュアよりも繊細で美しかった。
佐藤和音は飴細工で、藤田のために色白で美しい長身の二次元お姉さまを作っていた。
「和音さん、これ君が作ったの?」藤田は急いで和音に尋ねた。
佐藤和音は頷いた。
藤田の心は一瞬にして花が咲いたように喜びに満ちた。
研究所で唯一の、本当の意味での、純粋な女の子が、彼にだけ贈った、世界に一つだけの、手作りのプレゼント!
案の定、研究所の他のメンバーたちは藤田に羨望と嫉妬の眼差しを向けていた。
奥野実里も例外ではなかった。
アイドルのサイン入り写真も素晴らしいけれど、藤田が手にしているのは和音さんの手作りで、もっと魅力的に見えた!
藤田は口角を上げながらも、表面的な威厳は保とうとした。
習慣的に指で眼鏡を押し上げ、佐藤和音に向かって言った。「和音さん、ありがとう。このプレゼント、本当に気に入ったよ。」
奥野実里は藤田が持っている飴細工の美女をじっくりと見て、「あらあら藤田くん、和音ちゃんまでもがあなたがグラマーな36Dの熟女お姉さま好きだって知ってるのね!本性丸見えよ。」
「恵子姉、えっと…」藤田は奥野実里に注意を促した。「グラマー」とか「熟女お姉さま」といった言葉は、和音さんの前では使うべきではないと。
奥野実里は藤田の視線の意味を理解しないふりをして、「今までは買ったフィギュアを見るだけだったけど、今度は和音ちゃんが飴細工で作ってくれたから、やっと念願叶って、ゆっくり、ペロペロ、飴を、食べられるわね!」
「恵子姉、言葉遣いに気をつけてください!」藤田は真面目な表情で奥野実里に注意した。
金縁眼鏡に白衣姿の藤田は、やはり厳格で品位のある人物に見えた。
和音さんはまだ未成年なのに、恵子姉は言葉遣いに気をつけられないのか?