第194章 和音を家に連れ戻したい(1)

佐藤直樹の答えを聞いた後、佐藤正志は佐藤直樹の携帯電話を使って原詩織に返信した:

【甘やかしすぎて善悪の区別もつかないって、どういうこと?何かあったの?】

原詩織はまだ返信している人が佐藤正志だとは知らず、佐藤直樹だと思っていた。

原詩織は返信を見て、一瞬戸惑った。

普段なら、佐藤直樹はこういうメッセージの意味を理解しているはずなのに、今日はなぜか彼女に追及してきた。

原詩織は少し躊躇してから返信した:

【なんでもないわ。最近、体調はよくなった?】

佐藤正志はこのメッセージを見て、嘲笑的な表情を浮かべた。

話を半分しか言わず、本当のことを言わせようとすると黙ってしまう。

佐藤正志は佐藤直樹に自分でこのメッセージに返信するように言った。

佐藤直樹の表情には苦みが混じり、自嘲的な様子も見られた。

どうあれ、今彼とメッセージをやり取りしているこの人は、かつて彼が信頼し、慕っていた女の子だった。

佐藤直樹は返信した:【とても良い。】

簡潔な二文字。

佐藤直樹の簡潔な返事を見て、原詩織はすぐにどう質問を続けていいか分からなくなった。

佐藤直樹のメッセージを見つめながら、原詩織の本来美しく輝いていた顔に、知らず知らずのうちに薄暗い影が差した。

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佐藤家の者は皆、佐藤和音が化学オリンピックで賞を取ったことを知った。

佐藤家の者もそれほど驚かなかった。

なぜなら、佐藤和音はずっと賢かったからで、彼女の聡明さは幼い頃から表れていた。

以前は二番目の兄の実験室に籠もるのが大好きで、兄が実験をするのを見たり、いつも兄に質問を投げかけたりしていた。

兄妹は実験室で一日中過ごすことができた。

ただ、佐藤和音は後に勉強を嫌うようになった。

佐藤和音が真面目に勉強しようとしなくなっても、佐藤家の者は彼女を強制しなかった。彼女を縛りつけたくなかったし、勉強が嫌いなら、しなくても構わないと考えていた。

彼らは、あの時の佐藤和音が実は義理の叔母の山田燕の言葉を聞いて、勉強に心を向けなくなったことを知らなかった。

長い間、佐藤和音は山田燕を信頼し、山田燕の言葉を深く信じていた。

この数日間、佐藤のパパと佐藤のママは本邸に行って佐藤和音に会いたいと思っていたが、どんな理由で行けばいいのか分からず、会っても何と切り出せばいいのか分からなかった。