第195章 小凌を家に連れ帰りたい(2)

佐藤和音は開けたドアの向こうに佐藤正志の姿を見て、疑わしげな目で彼を見つめた。

ドアの前に立つ佐藤正志は、いつもの通り深い色の服装で、端正な顔には憂いの色が浮かんでいた。眉間には皺が寄り、深い眼差しをしていた。

彼は何か心配事があるように見えた。

「和音」佐藤正志が口を開き、低い声で和音の名を呼んだ。

「うん」一言返事をした後、和音は再び下を向いて仕事を続けた。

「化学コンテストで一位を取れて、おめでとう」佐藤正志は続けて言った。

「ありがとう」和音は答えた。

佐藤正志が今この時間に来た理由が和音にはよく分からなかった。さらに、もし彼が監視カメラの映像の件を持ち出したら、どう対応すればいいのかも分からなかった。ただ、これまでの佐藤正志との付き合い方を続けるしかなかった。