良いことも悪いことも、みんなに言われてしまったものね。
江口沙央梨は軽蔑した様子で言った。「なんだよ、佐藤和音のことをそんなに良く言って。前まで佐藤和音のことを悪く言ってたくせに、本当に日和見主義者ね!すぐに寝返るなんて!」
江口沙央梨はもともと佐藤和音が気に入らなかった。佐藤和音がみんなの標的になって嘲笑されていた時も、散々面白がって見ていた。
今、佐藤和音の名誉が回復され、みんなが擁護し始めて持ち上げているから、当然不機嫌になっている。
原詩織は江口沙央梨の言葉に注意を払わず、呆然とスマートフォンの画面を見つめていた。
この動画の内容を見て、原詩織は他の人以上に衝撃を受けていた。
原詩織は以前、母親から直接、佐藤和音が佐藤直樹を階段から突き落としたと聞いていた。
母親の言うことは、間違いのはずがない。
でも監視カメラの映像は、はっきりと目の前にある。
どうしてこんなことに?
母親と監視カメラの映像、どちらが正しくてどちらが間違っているの?
ありえない、母はこんなことで嘘をつくはずがない、母にとって何の得もないのに、母がそんなことするはずがない。
「詩織、どうしたの?」江口沙央梨は原詩織が黙って画面を見つめているのを見て、curious気に尋ねた。
「何でもない。」江口沙央梨の声で我に返った原詩織は、表情を取り繕い、自分の心の中の考えを江口沙央梨に悟られないようにした。
あの疑問は、江口沙央梨に知られてはいけない。
下校時間になるとすぐに、原詩織は急いで荷物をまとめて帰宅した。
母親に早く尋ねたかったから。
母親に会うと、原詩織は直接自分の疑問を述べた。
原詩織のスマートフォンの動画を見て、原おばさんは目を見開き、恐怖の表情を浮かべた。
「どうして...どうしてこんなことに?」
「お母さん、これは一体どういうことなの?」
まさか母が本当に嘘をついていたの?
「私は...」
原おばさんは衝撃に包まれていたが、娘の顔を見て、ようやく我に返った。
娘にこれらのことを知られてはいけない、娘には清らかな世界で生きていてほしい。
「この動画がどうなっているのか分からないけど、私は確かに目撃したわ。お嬢様が三少爺を階段から突き落としたのを。」
原おばさんは以前の主張を貫いた。