第201章 自分で何とかしなさい

「いいえ、奥様。動画が流出したら、長男様たちに私のことがバレてしまいます!」

「佐藤正志たちの前で言ったわけじゃないでしょう。佐藤直樹にだけ話したのよ」

山田燕は危機的な状況では自分の身だけを守り、原おばさんのことは可能な限り助けるが、どうしようもなくなれば仕方がない。

「でも三男様が知ったら、長男様とご夫人に話すはずです!」

「佐藤直樹があなたを信じたのは彼の勝手でしょう。追及されたら自分で言い訳を考えて関係を否定すればいい。自分で何とかする方法を考えられないの?あれだけのお金をあげたのは無駄じゃないはずよ!それにあなたの綺麗な娘は既に佐藤直樹を虜にしているんでしょう?自分で方法が思いつかないなら、娘に任せなさい」

「だめです!娘にはこの件に関わらせません!私に何をさせても構いませんが、娘だけは巻き込まないでください!」

「ご勝手に。自分で何とかできようができまいが、私に累が及ばないようにね。さもないと、あなたの娘の将来を完全に潰してやるわ」

山田燕は原恵子が事件後に自分を密告することを恐れていなかった。娘を人質に取っているので、原恵子は歯を食いしばって黙っているしかない。

「では奥様、せめて学校の掲示板にある動画を削除する手伝いをしていただけませんか」と原おばさんは最後に懇願した。

彼女はこういったことにあまり詳しくなかった。

ただ、この動画が学校の掲示板に残っている限り、彼女たちがバレる危険性が高まることは分かっていた。

山田燕は少し躊躇した。

オンライン上のことは全て慎重に扱っていた。なぜなら、ネットに繋がっているコンテンツは全てハッカーに追跡される可能性があることを知っていたからだ。

山田燕は佐藤正志の側近に鈴宮玉城というコンピューターの天才がいることも知っていた。

だから彼女が最初に栄光高校の掲示板で佐藤和音が佐藤直樹を階段から突き落としたという噂を広めて世論の圧力をかけようとした時、既に亡くなった栄光高校の卒業生のアカウントを盗んで使い、自分の正体を隠したのだ。

「分かったわ、何とかするわ」

山田燕は原おばさんをなだめるように言った。

実際には彼女はこの件に手を出すのが怖かった。

山田燕は原おばさんとの通話を切った後、佐藤和音の件は一時的に手の打ちようがないので、他のことに意識を向けた。