長い五時間の待機の後、ついに手術室のライトが消えた。
まだ麻酔が効いている佐藤直樹が手術室から運び出された。
手は特殊な装置で固定され包帯で巻かれており、中の状態は全く見えなかった。
出てきた藤田安広は佐藤家の者に告げた。「手術は成功しました。佐藤直樹さんはしばらく療養が必要で、傷が完全に治ってから、リハビリを始めることになります。」
佐藤家の者は佐藤直樹の安全を確認した後、無意識に主治医を探し始めた。
藤田安広は彼らが手術室の中を見続けているのを見て、手術医を探していることを理解した。
「ファズル先生は既に手術室の別の出口から出られました。」藤田安広は彼らのファズル先生本人に会いたいという考えを即座に打ち消した。
それを聞いた佐藤家の者は少し残念そうだったが、息子の手術が無事成功したことを考えると、喜びの方が大きかった。
手術室のもう一つのドアにつながる部屋で、佐藤和音は点滴を受けながらベッドに横たわっていた。
彼女は顔色が悪く、額には汗が滲んでいた。
大きな問題はなく、ただ疲労困憊していただけだった。
五時間も高度な集中力を要する手術は、体力と精神力を著しく消耗する作業だった。
そして佐藤和音自身の体調があまり良くなかった。
だから手術が終わるとすぐに、佐藤和音は立っていられなくなった。
奥野実里は彼女をすぐに隣の部屋に抱きかかえ、即座に体力回復のための点滴を始めた。
「和音、警告しておくわよ。十八歳になるまでは、こんな長時間の高度な集中力を要する手術は禁止よ。」
奥野実里は今回の手術が佐藤和音にとって避けられないものだったことを理解していた。
しかし、これは例外中の例外だった。
佐藤和音は点滴の針が刺さった手の甲を見ながら、体を鍛える必要があると考えた。
「来月から体を鍛え始めます。」
「そうね。」この点について奥野実里は同意した。フィットネスの達人として、奥野実里はこの分野では発言力があった。「じゃあこうしましょう。来週から私と一緒に、私があなたのトレーニングを手伝うわ。しばらく続ければ、体がバッチリ健康になって、食欲も出て、不良なんかも撃退できるようになるわよ!」
「恵子姉!やめて!」
藤田安広が戻ってきたところで奥野実里が佐藤和音に武術を教えると言うのを聞き、慌てて反対した。