長い五時間の待機の後、ついに手術室のライトが消えた。
まだ麻酔が効いている佐藤直樹が手術室から運び出された。
手は特殊な装置で固定され包帯で巻かれており、中の状態は全く見えなかった。
出てきた藤田安広は佐藤家の者に告げた。「手術は成功しました。佐藤直樹さんはしばらく療養が必要で、傷が完全に治ってから、リハビリを始めることになります。」
佐藤家の者は佐藤直樹の安全を確認した後、無意識に主治医を探し始めた。
藤田安広は彼らが手術室の中を見続けているのを見て、手術医を探していることを理解した。
「ファズル先生は既に手術室の別の出口から出られました。」藤田安広は彼らのファズル先生本人に会いたいという考えを即座に打ち消した。
それを聞いた佐藤家の者は少し残念そうだったが、息子の手術が無事成功したことを考えると、喜びの方が大きかった。