243章 原詩織と簡1凌の比較(1)

原詩織は説得されてしまった。

江口沙央梨の「事実に即して」という言葉が、彼女の元々の拒否感を打ち消してしまった。

江口沙央梨の言うことは間違っていない。写真が流出したとしても、彼女たちはただ一枚の写真を投稿しただけで、しかもその写真は事実を写したものだ。

そんな心理的な慰めのもと、原詩織は今までしなかったことをしてしまった。

彼女は写真を江口沙央梨に送った。

江口沙央梨は写真を受け取るとすぐに、学校の掲示板に投稿の編集を始めた。

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学校に戻った佐藤和音は、自分と千葉佳津との出会いが誤解されていることを知らなかった。

彼女にとって、やるべきことが山積みだった。

佐藤直樹の手術は終わったものの、目の前には千葉佳津の母親のプロジェクトと、あの老紳士の件を処理することが残っていた。