第242章 突然終わった恋心

佐藤和音の各科目の試験も落第することはなかっただろう。

「ありがとう」佐藤和音は一言返した。

千葉佳津が他言することを心配してはいなかったが、秘密を守ってくれるなら、それに越したことはなかった。

千葉佳津と佐藤和音はカフェでしばらく話をした。

そしてカフェを一緒に出た。

千葉佳津も車を持っていなかったので、佐藤和音を送るという話もなかった。

ただ入口で佐藤和音に別れを告げ、彼女が去っていくのを見送った。

二人がカフェを出る時、原詩織は向かいの本屋で見ていた。

千葉佳津と佐藤和音が話している間に何度も見せた笑顔も、彼女は全て見ていた。

千葉佳津と佐藤和音は窓際の席に座っていたので、通りを挟んでいても、はっきりと見えた。

原詩織の心には、自分でも説明できない苦い思いがあった。