第246章 秋次おじいさんは理事になった(1)

彼女も今お金を秋田緑に貸したら、しばらくは返してもらえないだろうということは分かっていた。

原詩織は躊躇した。

「詩織?」秋田緑は電話の向こうで待っていた。

原詩織は困ったような口調で言った。「秋田さん、私が今どんな困難に直面しているか分かっていますよね。今すぐお金が必要なんです。それに私には2000元しかないので、大した助けにはなりません。他に私にできることがあれば、必ずお手伝いさせていただきます。」

原詩織の断りに秋田緑は落胆した。

でも原詩織を責めることはできなかった。原詩織の困難な状況は前から知っていたからだ。

それでもやはり少し心が痛んだ。

原詩織の家の裁判がすぐに始まるわけではないので、数日間だけお金を借りたかっただけなのに。

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佐藤和音は生活指導主任の森田先生に職員室に呼び出された。

「佐藤和音、一体どうしたんだ?まだ若いのに恋愛なんかして。学業に影響を与えるだけでなく、学校の評判も傷つけることになるのが分からないのか?」

生活指導主任は佐藤和音を見ただけで腹が立った。

学校は最近でさえ問題が山積みだった。理事長のスキャンダルが暴露され、理事会は何度も重要な会議を開き、一連の危機管理対策を講じたが、今でも訴訟に巻き込まれている。

佐藤和音がさらに混乱を招き、学校に不利な事態を引き起こしている。

この前、千葉佳津という人物と面会した時、なぜあれほど佐藤和音のために弁解していたのか、今になって分かった!

「同じ栄光高校の生徒なのに、原詩織と比べてみろ。なぜこんなにも差があるんだ?」

前回の化学コンクール以降、生活指導主任は特に佐藤和音の学習状況に注目していた。

彼女の最近の宿題は相変わらず間違いが多く、化学も例外ではなかった。

これで生活指導主任は自分の判断が間違っていなかったと確信した。佐藤和音の受賞は権力者たちによる茶番劇に過ぎなかったのだ。

あのヨーリー化学材料研究機構の責任者も結局は権力者の一人で、まともに学術研究なんかするはずがない。

生活指導主任が熱心に話している最中、突然彼の職員室のドアが開いた。

生活指導主任は、ドアの外から入ってきた目を引く容姿の若い男性と、その後ろに従うスーツ姿の男たちを見た。