不動産業で財を成し、今では様々な業界に企業を持っている。
大阪市の出身ではないが、大阪市にいくつかの事業を持ち、佐藤家とも取引がある。
佐藤おじいさんと同じく蘭の花を愛好しており、二人の関係は親密とは言えないが、確実に知人と言える仲だ。
「佐藤じじい、今日ここで会えると思っていたよ!」
「金山さん、今日も来たのかい?」佐藤おじいさんは笑顔で相手に挨拶を返した。
「佐藤じじいは本当に幸せ者だな。花の展示会に来るのにこんなに大勢の若い者が付き添ってくれて。私とは違って、私の子供たちは誰一人来たがらないんだ。」
「いやいや、今日は特別なんだよ。」佐藤おじいさんは微笑んだ。
普段は一人で来ているのだ。
今日は一人多く連れてくるつもりだったのに、出発時には一団になってしまった。
これは花好きの老人である自分の魅力でもなければ、蘭の展示会の魅力でもないだろう。
「この前の赤眉血蘭を救えたって聞いたけど?」金山社長は珍しい蘭の状況について興味深そうに尋ねた。
「ああ、そうだよ。写真を見ただろう?」
「すごいね。前に送ってくれた写真では根が腐っていたから、もうダメかと思ったよ。」
「私も最初はダメだと思ったんだが、福の星に出会ってね。彼女が救ってくれたんだよ!」
佐藤おじいさんはこう言いながら、隠しきれない誇らしさを声に滲ませた。
「へえ?福の星?そんな素晴らしい福の星がどこにいるんだい?」金山社長は急いで尋ねた。
「遠くにいて近くにいる!」佐藤おじいさんは得意げに答えた。
遠くにいて近くにいる?
金山社長は不思議そうに佐藤おじいさんの周りの人々を見渡した。
佐藤おじいさんが指しているのは、この中の誰かなのだろうか?
佐藤おじいさんの長男の佐藤賢治、その妻の岡本治美、長男の佐藤正志、この三人のどれかかもしれない。
「見回さなくていい、ここだよ。」佐藤おじいさんは正式に金山社長に自慢の孫娘を紹介した。「私の孫娘の佐藤和音だ。」
「へえ?」金山社長は驚きの表情を見せた。
佐藤和音を見て、この年齢の若い娘が蘭の栽培に詳しいことに驚いた。これは珍しい。
「佐藤じじい、冗談を言っているんじゃないのか?」