第265章 蘭花展(4)

「年を取ると、多くのことが気にならなくなるものだ。運命にあることは必ずある、無理に求める必要はない」

佐藤おじいさんは自分が突然悟りを開いたかのように、金山社長に禅の理を語り始めた。

金山社長が佐藤おじいさんを見習うべきかと感心していた時。

スタッフが近づいてきて、佐藤おじいさんに言った。「佐藤おじいさん、このランの販売はお考えにならないのでしょうか?すでに何人もの方が展示場に極めて高額での購入を希望されているのですが」

「売らない、売らない。いくらでも売らないよ!」

佐藤おじいさんは断固とした態度を示し、スタッフは何も成果を得られずに引き下がるしかなかった。

金山社長は目を見開いて「佐藤じじい、どういうことだ?この新品種のランはあんたが持ってきたのか?」

佐藤おじいさんは誇らしげに顔を上げ、顔に自慢の表情を浮かべた。「そうだよ、世界に一つしかないこの一株は、私のものだ!」