第275章 夢の続き

しかし後に、兄妹の間で何か問題が起きたのか、二人の関係は疎遠になっていった。

佐藤和音は考えた末、佐藤一輝と佐藤和音の関係が変化した原因を探ることにした。

彼女自身、何が見つかるかわからなかったが。

佐藤和音は連絡先の一人にメッセージを送り、約2年前の佐藤一輝に起きた特別な出来事や、佐藤和音に関連する事柄を調べてもらうよう依頼した。

長く待たずに、相手からの返信が届いた。

相手は直接ファイルを送ってきた。

ファイルの内容は衣食住に関することなど、多岐にわたっていた。

その年の佐藤一輝に起きた特別な出来事は、すべて彼の学業に関連するものだった。

彼の研究が優れた成果を上げ、論文が発表され、海外の大学に合格し、世界的な生物学者の学生となった。

佐藤和音は、2年前に佐藤一輝が医者に通っていて、それがしばらく続いていたことに気付いた。

佐藤和音は突然、原作でも佐藤一輝が佐藤和音より先に亡くなっていたことを思い出した。

これらの間に何か関連があるのだろうか?

もし病院の診断結果を見ることができれば、答えがわかるかもしれない。

しかし今の佐藤和音には診断結果を見ることができない。病院の診断記録は厳重に秘密保持されているからだ。

今見ているこの記録でさえ、特別なルートを通じて入手したものだった。

佐藤一輝が国内にいた時に通っていたこの病院は大阪市内にある。佐藤和音はこの病院から手がかりを得て、欲しい資料を手に入れられるかもしれない。

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その夜、佐藤和音は再びあの夢を見た。

同じ光景、寒々しい色調の病室。

同じ医師と看護師。

夢で見た光景も前回と全く同じだった。

菊地秋次が彼女のベッドの前に現れ、自己紹介をし、いくつかの質問をして、後悔しているかどうかを尋ねた。

佐藤和音が答えた後、菊地秋次は少し黙っていた。

「もう体が持たないよ。行くべき時が来たら行けばいい。死んでしまえば、もう何も苦しむことはない。あなたの後のことは私が引き受けるから、何か要望があれば今言って。」

菊地秋次と佐藤和音はそれまで接点がなかったので、佐藤和音の死に際して、彼は特に感情を持っていなかった。

しかし彼が佐藤和音の後事を引き受けようとしたことは、一人きりの佐藤和音への最後の思いやりだった。