第279章 MVのヒロインは佐藤和音

小田百蔵という人物は医術の水準が研究所のメンバーほど高くないものの、総合的な能力が高く、院長として医学界での人脈も申し分ないものだった。

奥野実里は少し考えた後、もう反論しないことにした。

佐藤和音の決定を待つことにした。

佐藤和音は暫く考えた後、小田百蔵の提示した条件を受け入れることにした。「はい、承知しました」

彼の提示した条件は決して無理なものではなく、このようにすれば病院の関連資料を閲覧するのも正当な理由があることになる。

小田百蔵は嬉しさで顔がほころんだ。

得意げな様子だった!

彼らの病院が今話題の藤原淳医師を顧問として迎えることができたのだ!

同時に藤原淳医師と接する機会も得られた!

正当な理由で藤原淳医師に相談することもできる!

完璧だ!

このとき奥野実里が再び口を開いた。「小田さん、和音が病院の顧問医師を引き受けることになったからには、報酬はきちんと支払ってくださいよ。月に和音がどれだけ問題を解決するかに関係なく、藤原淳医師の名前が病院に掲げられるだけでも大きな利点になるはずです。だから給料は他の病院の顧問医師と同等かそれ以上でなければなりません」

奥野実里は研究所の後輩が損をすることを許さなかった。

「はい、はい、奥野博士、ご安心ください。そのあたりの規則は理解しています。給料は市場相場に従って支払います。決して藤原博士を騙すようなことはしません」

小田百蔵はそのくらいの常識は心得ていた。

佐藤和音は小田百蔵と話がまとまり、同徳私立病院の内部資料にアクセスする権限を得た。

同徳私立病院の多くの機密資料は電子化されておらず、専用の資料室に保管されていた。

これが以前佐藤和音が雇ったIT専門家がこれらの資料を入手できなかった理由だった。

佐藤和音は小田百蔵に案内されて資料室に入った。

該当する資料を見つけた。

開いてみると、佐藤和音は佐藤一輝の診察をした医師による診断書を見つけた。

読み終えると、佐藤和音は理解し、少し安堵のため息をついた。

佐藤一輝が受診したのは心理医で、彼は躁鬱病を患っていた。それは普段は穏やかな性格の人が突然激しい怒りを見せるようになる心の病だった。

この病気はある程度、身近な人を傷つける可能性があり、周囲の人々に苦痛を与えることがある。