しかし菊地秋次から見ると、佐藤和音の現在の睡眠時間はまだ不十分だった。
成長期の人間が、一日六、七時間しか寝ていない。
八時間睡眠を取らないで、どうやって背が伸びるというのか?
最終的に、佐藤和音は屈服した。背を伸ばすために、オフィスの簡易ベッドで昼寝をすることにした。
菊地秋次は隣の机で自分の仕事をしながら、時々丸くなって寝ている佐藤和音を見下ろした。
彼女は元々小さな体つきで、布団の下で丸くなると、ただの小さな膨らみにしか見えなかった。
こんなに小さな存在なのに、致命的なほど頑固で、何事も一人で抱え込んで、誰にも話そうとしない。
佐藤和音は三十分眠った。
目が覚めると、菊地秋次は彼女にデザートを持ってきた。
佐藤和音も断らなかった。食べ物に関しては、もう菊地秋次に遠慮することはなくなっていた。