すぐに菊地おじいさんは質問する気も失せてしまった。
上杉望の方を向いて怒って問いただした。「どうしてこんなことになったんだ?」
上杉望は俯いて、息をするのも怖がっていた。
上杉望も心の中では辛かった。秋次おじいさんが協力してくれないから、菊地おじいさんから言いつけられた仕事をごまかすためにこんなことしかできなかったのだ。
和音様以外の女性は、秋次おじいさんに近づくことさえ許されなかった。
秋次おじいさんが女性たちと親しくしていれば、彼と和音様の写真だけを撮る必要はなかったのに。
「まあいいか」菊地おじいさんもどうすることもできなかった。主な問題は上杉望にあるのではなく、むしろ自分の唯一の孫にあったのだ。
孫がようやく目覚めたと思っていたのに。
まさか水の泡になるとは。数日間の喜びも無駄になってしまった。