第329章 山田燕は激怒する(2)

「帳簿が合わないのに知らないだって?」老夫人は眉をひそめた。

これは小さな問題ではない。

「私は……本当に知りません」山田燕は小声で弁解した。

「そう、」老夫人は言った。「あなたがきちんと管理できないのなら、家族の基金は一時的にお姉さんに任せましょう」

山田燕が知っていようと知らなかろうと、基金の帳簿に問題が生じたのは彼女の責任だ。

彼女の仕事ぶりが不十分だったので、老夫人には彼女を交代させる理由があった。

「お母様、私は……」

山田燕はまだ自分のために弁解しようとした。

「この件はこれで決まりよ」老夫人は最終決定を下し、山田燕の言い訳をこれ以上聞きたくなかった。

山田燕の心は一気に底まで沈んだ。

お母様はあまりにも偏っているわ!

彼女に少しのチャンスも与えない!

結局は家族の基金を岡本治美に任せたいだけなんでしょう?