「帳簿が合わないのに知らないだって?」老夫人は眉をひそめた。
これは小さな問題ではない。
「私は……本当に知りません」山田燕は小声で弁解した。
「そう、」老夫人は言った。「あなたがきちんと管理できないのなら、家族の基金は一時的にお姉さんに任せましょう」
山田燕が知っていようと知らなかろうと、基金の帳簿に問題が生じたのは彼女の責任だ。
彼女の仕事ぶりが不十分だったので、老夫人には彼女を交代させる理由があった。
「お母様、私は……」
山田燕はまだ自分のために弁解しようとした。
「この件はこれで決まりよ」老夫人は最終決定を下し、山田燕の言い訳をこれ以上聞きたくなかった。
山田燕の心は一気に底まで沈んだ。
お母様はあまりにも偏っているわ!
彼女に少しのチャンスも与えない!
結局は家族の基金を岡本治美に任せたいだけなんでしょう?