第335章 家長会で原おばさんの面目丸つぶれ(2)

翌日の朝早く、佐藤家の三人は時間通りに栄光高校に到着した。

岡本治美は高校三年生の校舎へ、佐藤賢治と佐藤正志は高校一年生の校舎へ向かった。

原恵子はここ数日辛い日々を送っていた。佐藤正志が彼女を訪ねてきたことは原詩織には話さなかった。娘が安心して学校に通えるようにするためだった。

山田健司のことは隠しきれなかった。彼は二日に一度は彼女たちの家に来ていた。騒いだり怒鳴ったりはしなかったが、彼がそこにいるだけで母娘は苦痛だった。

原恵子としては、むしろ彼が暴力を振るってくれた方がよかった。そうすれば証拠を集めやすく、離婚裁判も有利に進められたはずだ。

今の彼は、母娘に不快感を与えるだけで、何の意味もなかった。

今日は娘の高校三年生最初の学期の最初の保護者会だった。絶対に欠席するわけにはいかないし、娘の面目を潰すこともできなかった。

そのため、最近どんなに辛い日々を送っていても、原恵子はきちんと身なりを整え、最も適切な服装で栄光高校の三年生の教室に現れた。

保護者会の度に、原恵子が最も誇りを感じる時だった。

先生は娘を褒め、他の保護者たちは羨望のまなざしを向けてきた。

彼女は一生底辺で生きてきて、誇れるものは何もなかったが、これだけは他人が見上げてくれることだった。

相手が社会のエリートであろうと、企業の社長であろうと、この時ばかりは彼女に羨望の眼差しを向けざるを得なかった。良い娘を産んだことを羨ましがっていた。

しかし今日、原恵子は本当の喜びを感じることができなかった。

なぜなら、佐藤直樹の保護者も来ることを知っていたからだ。

佐藤正志が来るのではないかと恐れていた。今の彼女は佐藤正志をとても怖がっていた。

正面玄関から優雅で品のある身なりの岡本治美が入ってきたのを見て、彼女の心は少し落ち着いた。

岡本治美は佐藤家の中で最も性格の穏やかな人物だった。

話し方さえも優しく柔らかだった。

佐藤家で何年か働いてきて、岡本治美はいつも話しやすく、休暇の申請や些細なミスをしても、気にすることはなかった。

今では優しく接してくれることはないだろうが、少なくとも佐藤正志というあの災いの星よりはましだった。

岡本治美が近づいてきた時、原恵子は頭を下げ、直視することができなかった。