翌日の朝早く、佐藤家の三人は時間通りに栄光高校に到着した。
岡本治美は高校三年生の校舎へ、佐藤賢治と佐藤正志は高校一年生の校舎へ向かった。
原恵子はここ数日辛い日々を送っていた。佐藤正志が彼女を訪ねてきたことは原詩織には話さなかった。娘が安心して学校に通えるようにするためだった。
山田健司のことは隠しきれなかった。彼は二日に一度は彼女たちの家に来ていた。騒いだり怒鳴ったりはしなかったが、彼がそこにいるだけで母娘は苦痛だった。
原恵子としては、むしろ彼が暴力を振るってくれた方がよかった。そうすれば証拠を集めやすく、離婚裁判も有利に進められたはずだ。
今の彼は、母娘に不快感を与えるだけで、何の意味もなかった。
今日は娘の高校三年生最初の学期の最初の保護者会だった。絶対に欠席するわけにはいかないし、娘の面目を潰すこともできなかった。