「姉貴、大変なことになってるよ。ネットで盗作だって言われてる。有名な外科医の論文を盗用したって」
安田洋平は佐藤和音に電話をかけ、ネット上で起きていることを伝えた。
安田洋平はここ数日気分が優れなかったが、佐藤和音を姉貴分として認めたことを覚えていたので、彼女に関することを見つけるとすぐに連絡を取った。
「誰の論文を盗用したって?」和音は追及した。
彼女の論文は全て自分のオリジナルで、盗用なんてあり得なかった。
「英語の名前の人だけど、ちょっと待ってね」英語が苦手な安田洋平は、アルファベット26文字が読める程度の実力だった。「D、R、F、S、この4文字だよ」
佐藤和音:「……」
電話の向こうで、安田洋平の部下が彼に言っているのが聞こえた。「洋平さん、drはdoctorの略です」
「ドクターだろうが何だろうが、そんなの関係ない。とにかくそういう人なんだよ。たぶん外国の外科医だろ」