第353章 原詩織は山田燕と連絡を取る

原詩織はここ数日休んでいた。学校での噂話を避けたいという理由もあったが、他にもやらなければならないことがあったのだ。

原詩織はまず自ら山田健司を訪ね、今彼女たちを困らせても得られるお金はわずかだが、将来彼女に稼ぐ力がついたら、もっと多くのお金を得られるようになり、彼の取り分も増えると伝えた。

彼女は山田健司が本気で母娘と一緒にいたいわけではないことを知っていた。本当に母娘と一緒にいたいのなら、最初から愛人と逃げ出して母娘を見捨てたりはしなかったはずだ。

だから彼がこんなに騒ぎ立てる最大の理由は、お金しかありえなかった。

山田健司は目の前の娘を見て、彼女の言葉に少し心を動かされた。

佐藤正志から得られるお金には限りがある。しかし、娘が将来成功すれば、絶え間なく金銭を得られるだろう。

しかも彼も年を取り、以前の愛人も子供を産んでくれなかった。

この娘が一人っ子で、将来は彼の面倒を見てくれる頼みの綱だった。

結局山田健司は同意した。どうせ彼の目的は妻や子供を困らせることではなく、食べるに困らない十分なお金が欲しいだけだったのだから!

もちろん原詩織は本当に将来山田健司のATMになるつもりはなく、ただ一時的に彼を落ち着かせたかっただけだ。

少なくとも現段階では、山田健司にこれ以上邪魔されたくなかった。

続いて原詩織は山田燕に連絡を取り、佐藤家の者が彼女のしたことを知っていると伝えた。

原詩織は、力の弱い自分がどうすれば最も有利になるかをよく分かっていた。

原詩織の話を聞いて、山田燕は最近岡本治美に狙われている理由を理解した。

なんと岡本治美がすべての状況を知っていたのだ。

山田燕は怒りが収まらなかった。

原詩織は山田燕に、すでに山田健司を落ち着かせたので、しばらくは彼女を困らせることはないと伝えた。

この一点だけでも、山田燕は原詩織を見直さざるを得なかった。

原恵子は愚かだったが、彼女が産んだこの娘は明らかに母親よりもずっと賢かった。

そして原詩織は山田燕に言った。「あなたの助けが必要です。」

「助け?」山田燕は尋ねた。「どんな助けが必要なのか言ってみなさい。」

「まず第一に、人脈とリソースです。あなたは以前芸能界にいましたよね。芸能界に十分な人脈とリソースを持っていることを知っています。」