夜が訪れた。
無人島の星空は格別に美しかった。
しかし、今日この無人島にいるほとんどのゲストたちには、その星空を楽しむ余裕はなかった。
夜になって風が吹き始めたからだ。
海風が、彼らが昼間苦労して建てた「テント」を倒してしまった。
佐藤和音たちのテントは箱から出てきたプロ仕様のテントだったが、他の人たちのは様々な材料を寄せ集めて作ったもので、耐風性は平凡なものだった。
みんなに称賛された、一見とても頑丈そうに見えた原詩織と母親のテントでさえ、この強風に耐えきれず、バラバラになってしまった。
彼らは強風の中で修復作業を余儀なくされた。
佐藤和音と佐藤明人は一人一つの小さなテントを持ち、テントの中にはそれぞれ寝袋があった。
二人は各自の寝袋に横たわり、暖かく安定していて、外で風がどんなに「ビュービュー」と吹いても、二人はびくともしなかった。