第394章 橋本おじいさんの特別扱い(1)

「はい」佐藤和音は答え、幼い顔に余計な表情を見せず、形式的な様子だった。

何事にも無関心そうな、さりげない態度を見せていた。

東京の千葉家という権力者に対しても、少しも取り入ろうとする様子はなかった。

あの日、上杉家で千葉優花が佐藤和音に会った時も、彼女はこんな感じだった。

あの日、彼女が菊地秋次への「愛情弁当」を持っていなかったら、千葉優花は彼女を天然でずるさのない優しい女の子だと思うところだった。

おそらく東京からの権力者に興味がないのではなく、千葉清司という小さな仏様より、菊地若様という大きな仏様に目が向いているのだろう。

「さっきご両親を見かけたけど、一緒に来なかったの?」千葉清司は気遣うように尋ねた。

佐藤和音は、佐藤賢治と岡本治美が今日の発表会に来ることを知らなかった。