第405章 佐藤正志が夜食を届ける

佐藤一輝は佐藤正志からの電話を受けた。

「奈良市にいるのか?」

電話越しの佐藤正志の声は少し抑えられていて、怒りなのか憂鬱なのか言い表せないものだった。

「ああ」

「和音も一緒か?」ネット上の情報は佐藤正志も見ていた。

「ああ」

「事前に言っておくべきだったな」

自分の妹が自分のゲーム会社の公式大会でベスト20に入ったことを、彼は話題のトレンドを見て初めて知ったのだ。

佐藤正志は会社のCEOだが、会社が主催するゲーム大会の参加者リストをチェックしているわけではない。

しかし鈴宮玉城は、ネット上に現れる佐藤和音の名前を監視していたのだから、和音が大会に参加することを知っていたはずだ。

それなのに彼は事前に正志に知らせなかった。

この件については、佐藤正志は時間ができたら必ず鈴宮玉城に責任を取らせるつもりだった。