佐藤和音が会場を出ると、携帯に【美人女社長】という名前で登録されている人からメッセージが届いていた。
【ファズル先生、あなたが調べてほしいと言ったものはすべて調べ終わりました。資料はすべて送りましたよ。】
数日前、佐藤和音はこの人に資料を探してもらうよう頼んでいた。今、その返事が来たのだ。
【ありがとう。】
【私に遠慮することないでしょう。何か必要なことがあれば、遠慮なく言ってくれればいいのよ。それと、ひとつ教えておくわ。前にあなたとトラブルがあった原詩織のことだけど、彼女は最近、高予算の大きな映画に出演することになったの。その映画の裏の投資家は山田燕よ。もし私が間違っていなければ、山田燕はあなたの叔母さんでしょう?30年前に彼女があなたの叔父と結婚した時、メディアが大々的に報道していたわ。】