病室。
二つのベッド。
窓側のベッドには、菊地秋次が横たわっていた。
菊地秋次の体には多くの医療機器が接続され、彼の身体の様々なデータを監視していた。
ドア側のベッドには、佐藤和音が横たわっていた。
佐藤和音は重傷を負っておらず、ただ打撲や腫れがある程度だったが、それでも菊地秋次の部下に連れられて病院で一連の検査を受けさせられていた。
病室のドアの前にはボディガードが立ち並び、入ろうとする佐藤家の者たちもいた。
ボディガードたちは佐藤和音を出さないようにしていた。菊地秋次が目を覚まして佐藤和音がいないと知れば、心配したり怒ったりするのではないかと恐れていたからだ。
また、他の人を入れることもできなかった。大勢が病室に押し寄せれば菊地秋次の安静が妨げられるからだ。
そのため、病室の中にはベッドに横たわる二人だけがいた。