第446章 秋次おじいさんの救出(4)

佐藤和音は目の前の、顔色の悪い、嘲笑うような笑みを浮かべた男を見つめていた。

これは彼女の人生で初めてのことだった。誰かが彼女に何ができるかではなく、彼女が何を提供できるかでもなく、条件の交換を目的とせず、自分の命の安全を顧みず、断固として彼女を救おうとしていた。

佐藤和音には理解できなかったが、ただ胸の内に、暖かい感覚が広がるのを感じた……

中年の男はその様子を見て、少し緊張したが、状況は彼が退くことを許さなかった。

しかも彼は、目の前のこの体調があまり良くなさそうな若い男が、彼らのボスを脅かす能力があるとは信じていなかった。

「無駄話はやめろ。どっちにしても今は人質は俺たちの手の中だ。俺たちを行かせるか、それとも今日は誰も良い思いをしないかだ!」

彼は菊地秋次と最後まで争うつもりだった。人質を手に入れている以上、相手がどれだけ人数が多くても、彼らに手を出す勇気はないだろう。