佐藤和音がどの校門から入ってくるか分からなかったので、佐藤直樹は医学部の実験棟の入り口で待っていた。
佐藤和音は医学部の横山教授に会いに来るはずで、横山教授は今この実験棟にいる。
約30分ほど待った後、佐藤直樹はようやく佐藤和音を見つけた。
まだ10月で、天気はかなり暑かった。
佐藤和音は薄い色のノースリーブに黒いジーンズを履き、ポニーテールにして、清潔感があり引き締まった印象だった。
佐藤直樹は急いで前に進み、「和音」と声をかけた。
その声には喜びと興奮が滲んでいた。
「うん」佐藤和音は足を止め、佐藤直樹が興奮気味に駆け寄ってくるのを見て、どう反応すべきか少し戸惑っていた。
「これ、君へのプレゼント。私たちの学校へようこそ」佐藤直樹は笑顔を浮かべ、輝く目で佐藤和音を見つめた。