第464章 佐藤直樹の苦さ(1)

佐藤和音がどの校門から入ってくるか分からなかったので、佐藤直樹は医学部の実験棟の入り口で待っていた。

佐藤和音は医学部の横山教授に会いに来るはずで、横山教授は今この実験棟にいる。

約30分ほど待った後、佐藤直樹はようやく佐藤和音を見つけた。

まだ10月で、天気はかなり暑かった。

佐藤和音は薄い色のノースリーブに黒いジーンズを履き、ポニーテールにして、清潔感があり引き締まった印象だった。

佐藤直樹は急いで前に進み、「和音」と声をかけた。

その声には喜びと興奮が滲んでいた。

「うん」佐藤和音は足を止め、佐藤直樹が興奮気味に駆け寄ってくるのを見て、どう反応すべきか少し戸惑っていた。

「これ、君へのプレゼント。私たちの学校へようこそ」佐藤直樹は笑顔を浮かべ、輝く目で佐藤和音を見つめた。