第466章 "普通"の玉のペンダント

学校の近くのスイーツショップは、この時間帯はあまり人がいなかった。

がらんとした店内には、佐藤和音と菊地秋次の二人だけが座っていた。

「これ、あげる」

菊地秋次は突然小さなペンダントを取り出し、何気なく佐藤和音の前に投げた。

佐藤和音はそのペンダントを見つめた。

黒い細い紐に、透明な玉のペンダントが下がっている。

玉自体はそれほど大きくなく、菊地秋次の親指の爪ほどの大きさだった。

佐藤和音自身の親指の爪よりも少し大きい程度。

玉の表面には多くの古代文字が刻まれていた。

とても上品で古風な印象の玉のペンダントだった。

佐藤和音はすぐには手を伸ばさず、疑問の眼差しで菊地秋次を見つめた。

特別な記念日でもなく、誕生日でもないのに、なぜプレゼントをくれるのだろう?

菊地秋次は適当に説明した。「顔合わせのプレゼントさ。三年ぶりの再会だし、ちょっとした気持ちの表れだよ」