彼女が研究や学術に携わっている人だとは全く見えなかった。
また、彼らの予想とはかけ離れていた。
三浦友加里と佐藤和音のデスクは隣り合わせだった。
佐藤和音は席を外しており、パソコンは電源が切られ、机の上には書類の山が置かれていた。
研究室のドアは電子ロックで、実験棟には警備員もいて、大学のセキュリティ対策は良好だったため、多くの学生が資料を研究室に置いていた。
三浦友加里はそれらの書類を見ながら、心の中に奇妙な感情が湧き上がってきた。
佐藤和音の研究進捗はどうなっているのだろうか…
彼らは同じ研究分野で、ある意味では協力関係にあったが、別の視点から見れば、彼らの間には競争関係も存在していた。
三浦友加里はついに自分の好奇心に負け、佐藤和音が机の上に置いていた書類の山をめくってみた。