第498章 ただ抱きしめたかった

この謝罪の言葉は、ずっと誠意が感じられた。

学校の幹部たちも、もう十分だと思い、みんなを解散させた。

そして佐藤和音に指導教官を変更するという特例的な約束をした。

小西おじいさんは和音にもう少し話をしてから立ち去り、帰る前に和音に時間があれば彼のところに来るようにと言い残した。

小西おじいさんが去った後、菊地秋次は和音の服を引っ張り、実験室を出た。

秋次はゆっくり歩いていたので、和音はついていけたが、どこに連れて行かれるのかわからなかった。

人気のない階段の踊り場まで来て、ようやく秋次は立ち止まった。

そして振り向いて和音に言った。「悲しい気持ちは表に出した方がいい」

和音は一瞬戸惑い、顔を上げて、疑問の目で秋次の端正な顔を見つめ、彼の目に宿る真剣さと厳粛さを感じ取った。