第042章:私はそんなにゴシップ好きじゃないわ

実は絵里菜の言外の意味は、今は家にお金が困っていないということだった。

「い、いくら?」馬場輝は呆然として「母さんの年収が300万?」と聞いた。

馬場絵里菜は驚いている兄を見ながら頷き、「ボーナスもあるのよ」と付け加えた。

細田登美子は一日経っても昇進のことと通帳に100万円が増えたことに慣れていないようで、それらのことを忘れていた。

今、娘の分析を聞いて、細田登美子の思考が徐々に明確になってきた。将来的に立ち退き補償で一軒の家がもらえるとはいえ、息子が結婚する時にも一軒の家が必要だ。自分のこの総経理の職がいつまで続くかわからないので、年収300万円に期待を寄せるべきではない。今、余裕があるうちに、もう一軒家を買うべきだ。

そう考えると、細田登美子は一気に理解が深まり、娘がこんなにも周到に考えていたことに驚き、すぐに「絵里菜の言う通りね。今のうちに家を買わないと。立ち退きの話が出たら、不動産価格は必ず上がるわ」と頷いた。