第72章:私をあなたの側に置いてください

白川昼は馬場絵里菜の言葉に逆らうことはできず、仕方なくうなずいた。しばらく考えてから、絵里菜に尋ねた。「門主様、他の者たちにもお会いになりますか?私があなたを見つけたと知れば、きっと皆喜ぶと思います。私たち十二衛があなたの側にいれば、お守りすることもできます」

絵里菜はそれを聞くと、考えるまでもなく手を振った。「今はその必要はない。今はまだその時ではないから、この件は秘密にしておいて」

絵里菜が捨仙門の者たちを拒絶しているわけではない。ただ、この身分を知ったばかりであり、白川昼の言う通り、十二衛の皆も今は普通の生活を送っている。絵里菜自身もそうだ。突然現れた門主である自分によって、すべてを壊したくはない。必要がなければ、皆穏やかに暮らせばいい。

白川昼は賢い人物で、絵里菜の考えをほぼ察することができ、心の中で理解を示した。

「ではそういうことで、私はしばらくこの件を他の者たちには知らせません。しかし門主様、どうか私をお側に置いてください。さもなければ、何か起きた時に、他の者たちに申し開きができません」白川昼は再び真面目な表情に戻り、言い終わると深々と頭を下げて決意を示した。

絵里菜は彼を一瞥し、他の者たちとの面会を断った以上、白川昼まで拒否するのは確かに非情すぎると感じた。

それに転生して戻ってきた十四歳という年齢は特に中途半端で、何かをしようとしても及び腰になってしまう。このような人手が必要な時に、白川昼が側にいて助けてくれれば、確かに多くの問題が解決できる。

軽くうなずき、絵里菜は微笑んだ。「あなたが都合よければ、残ってください」

白川昼はそれを聞いて俊顔を輝かせた。「ありがとうございます、門主様」

白川昼が去ったのは既に未明で、絵里菜はソファに座ったまま、なかなか落ち着かなかった。

この世界にはまだ百人近くの捨仙門の者たちがいて、転生して戻ってきた自分が、選ばれた門主だったとは。

これらの出来事はあまりにも幻想的で、自分が実際に経験していなければ、絵里菜も信じられなかっただろう。

翌朝早く、絵里菜と高橋桃は朝食店で朝食を食べていた。

「絵里菜ちゃん、立ち退きの後は、登美子さんの揚げた油条が食べられなくなっちゃうね……」高橋桃は少し寂しそうに言った。