第073章:すぐに手続きを済ませに行く

細田登美子は言葉を聞いて思わず固まった。彼女がエプロンに手の小麦粉を拭いながら、急いで出てきた様子が見えた。「あなた、急ぎすぎよ。昨夜決めたばかりじゃない。」

細田繁はニヤニヤ笑い、二軒のボロ家で二千万円が手に入ることを考えると、その笑みは止まらなかった。「もちろん急いでるさ。嫁さんの方が急かしてるから、早く金を手に入れて新しい家を用意しないと。そうすれば弟も早く結婚できるからな。」

話している間に細田登美子は家の権利書に目を通した。細田繁の家だけでなく、細田仲男の分も含まれていた。

「これ、昨夜お兄さんの家に行ってもらってきたの?」細田登美子は細田繁に尋ねた。心の中で不思議に思った。確かに兄と三番目の弟の仲は二人の妹より親密だが、こんなにも簡単に権利書を渡すはずがない。この家は何年も空き家とはいえ、売れば数十万円にはなるはずだから。